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2018-11

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another

私が読書に本当の意味で傾倒し始めたのは、おそらく母の影響が大きいように思う。

今では老眼が進んで本を読む姿をめっきり見なくなってしまったが、私が小学生の頃はよく本を読んでいた。

ジャンルは相当に偏っていたと思う。

何せ、ミステリしか読まない。
その内の9割は赤川次郎ばかり。

ちょうど「三姉妹探偵団」のドラマが放送されていたりと、私もその影響で母から借りて読み始めるようになった。

それまでは青い鳥文庫くらいしか読書の題材には選ばなかった。

だから衝撃はかなり大きかった。

謎が解明されていくというスリルに大いに感動した。興奮した。

それからのめり込むようにしてミステリばかり読むようになった。

謎解きだけじゃなくてクイズやなぞなぞ、マジックも好きになっていった。

その内に世の中のいろいろなことが解明されていくのが好きになった。

だから、理科系の科目は自分でも驚くくらいに飲み込みは早くなった。

と、自分語りはこのあたりにして

今回紹介する、「another」は久しぶりに

あの頃のあっと驚かされる気分を味わった。

ドラマやアニメにもなっている作品なので知っている人は多いと思うけれど

今一度ここで取り上げたい。

文学的な良さではないけれど、エンタメの一つの完成形じゃないのかと思う。

ミステリ、ホラー、ラノベっぽいキャラの立った登場人物。

上下巻に分かれていることを忘れて没入させられた。

そして、最後のどんでん返しには、あっと息をのまされる。

どの年代でも、どの世代でも

読めば引き込まれることは間違いないと思う。

久しぶりに感動した。

綾辻さんはやはり、あっと言わせる天才の一人だと思う(納得のいくものかは別問題だけれど)。
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かすみ空

 暖房の効きすぎた教室のせいで、新調したばかりの春用のジャケットはうざったくまとわりついている。小さく区切られたブースには、二人の女子高校生と僕だけ。
 かしましく騒ぎ立てる彼女らの様子は、何ら普段と変わらないように見える。

 今日、世界は大きく揺らめいたはずなのに、僕の目の前は何も変わらずたゆたっている。
 彼女らは次の現国の講義の準備もせず雑談を続ける。
 中身は学校での先生の態度だとか、部活の仲間の愚痴だとか、次々と目まぐるしく話題を変える。
 論旨の見えない話題はどんよりと曇ったチャイムの音で静寂に変わった。

「宿題に出していたプリントの答え合わせからはじめよう」

 僕の声にこたえ、渋々といった体で鞄から角の折れた紙を引っ張り出す。

 大きな地震が起きた。

 くらくらと立ちくらみがしたのかと思った。
 めまいにも似た気持ちの悪い揺れが長く続いた。
 蛍光灯から伸びる紐が僕と一緒に揺らついている姿を見ていなければ、ただの眩暈で終わらせていたかもしれない。

 テレビを点けた。

 小さな島国は大きく揺さぶられていた。
 津波が起き、すべてが飲まれていた。
 あっという間にテレビの向こうは警告音の高い音がピーピーとけたたましく何度も速報を流していた。



 深夜三時の空気は肌寒いくらいで、コートを持ってこなかったことを悔やんだ。

 現実に現実感がなかった。
 テレビの向こうと今ここにいる自分が繋がらなかった。

 たった二〇〇キロを隔てるだけで現実はこんなにも乖離しているものだろうか。
 時折僕の横を通り過ぎる無神経な車のライトにいちいちイラッとした。
 ごぉという音に悲鳴が混じっている気がした。

 命が消し飛んだんだと思った。
 あの眩暈の瞬間、僕が出会ったこともない人々の命は儚くも消え去った。

 そして、おそらく僕が大好きだったあの人も……。




 あの人は仙台に住んでいると言っていた。
 海辺の小さな町に住んでいると。
 潮の香りと木立ちの青さが混じりあう不思議な匂いが嫌いじゃないのとほほえんでいた。

 あのえくぼも、あの八重歯も、すべては水に流されて消えてしまったのではないだろうか。

 確かめる術を僕はもたない。

 どうかたまたま地元にいませんでしたとか、旅行に出ていたという理由で生きていて欲しかった。




 夜空にはかすみの合間から一等星がいくつか顔をのぞかせていた。
 こんな夜でもどこかで流れ星を見ることはあるのだろう。

 祈りを捧げたかった。
 僕の胸のまわりを覆う影を見ないふりをし誰かの為に一心に。

尻啖え孫市

たまには「読んだ」本ではなく、「読んでいる」本の話をしたいと思います。


司馬遼太郎 「尻啖らえ孫市」
文春文庫より



今読んでいるんですが、司馬遼太郎はやっぱり面白いですね。

私も歴史はちょっとだけかじっているんですが(詳しいとは言ってない)、歴史研究をされていらっしゃる方には司馬遼太郎が苦手という方もいらっしゃいます。
まぁ、悪く言えば思いっきり嘘ついてますからね。
解釈の嘘とかいうレベルじゃなくて、もう完全に小説にしようとしてる。

---そんなあほな。
とでも
いいたくなるのだが、

と、本人の言葉を借りるとね。そんな感じですよ。
「真説宮本武蔵」の時に言ってたと思います。


ただ、やっぱり勉強というか、追究の領域が半端じゃないです。
ここまで調べる?ってぐらいおさえてあります。


私の地元は関西でして、司馬遼太郎記念館のある大阪の布施まで1時間もあったらいけるんです。
記念館に入ったら司馬遼太郎の書斎に入ることができるんですが、まぁ蔵書の量がぱねぇですよ。
大学一回の時でしたねぇ…
興味があった本を手に取ろうとして学芸員さんに止められたのを覚えてます。



尻啖え孫市は雜賀集のリーダーである雜賀孫市が信長の親戚の女(今のところそんな女はいないらしいのですが)に一目ぼれして、その女との仲を秀吉に取りもってもらう代わりに織田家の手助けをするという流れで今のところ進行しています。


孫市は覇権には興味がなく、自分の人生は女と商売でできている。なんてことを言います。
女に按摩をしてやりながら関係をもって、いい女には「観音」の位をやるんだそうです。


敵軍のスパイを平気で織田家の幕内に引き入れて雜賀集の宣伝をしたり、ね。


現代的な感覚の持ち主だなぁって現代人の私たちが言うのは簡単なんですが、当時の孫市がどれほどそういう感覚を持っていたのか、当時の思想とどう折り合いをつけていたのか、周りの人はどうとらえていたのか、そもそも本当にそういう思想の持ち主なのか…


なーんにもわかりません(・∀・)
そりゃ歴史家もこんがらがりますよね。


ともあれ、ストーリーとしては、小説としては本当に面白い。
それほど女を見る目のある孫市が、いもしない織田家の女を見惚めることがあるのか…
そのへんの謎もまだ残っていますからね。
ゆっくり読み進めていきたいと思います。

担当:タンパク

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Author:逆志乃 機里
逆志乃機里、タンパクが各々好き勝手に織り成す、それなり小説集。
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